5話:カッパ殺人事件

職員室の奥にある個人面談室はクーラーが効いて寒いくらいだった。 「八田くん、落ち着いて、本当の事を話してくださいね」 「はい、時先生。わかりました」 「おじいさまの背丈にぴったりの木箱を準備しておいて、 そのおじいさまが都合よく8月31日に亡くなったので、夏休みの工作を仕上げた。 これは話が出来すぎていませんか」 「あれはおじいちゃんじゃないです、あれはカッパです」 「いいですか、この世の中にカッパなどという生き物は居ません 嘘をついたり、人と違う事をする人間は、会社員になってから出世できませんよ たとえ、安楽死であったとしても、夏休みの工作に間に合わせるために何かをしたのであれば それはりっぱな殺人事件ですよ」 「だから、あれはカッパなんです、人間じゃないんです 先生の髪型もオカッパじゃないか」 「話をすり替えるんじゃありません この髪型はオカッパじゃなくてショートボブです」 時先生は、この少年に世の中の常識をどうやって教えるか悩んでいた。 八田少年は、この世界にカッパがいる事をどう説明したらいいのか困っていた。 二人の間の沈黙を破るようにドアが開き、教頭先生が叫んだ。 「と、時先生、たた、たいへんです 教室で何か事件が起きてるみたいで、生徒たちが騒いでいます」

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